lilyの恋ばな！

　待合室で一桁の受付票を受け取ったわたしは勝ち組。いぇい。

　わたし、とある男の人のことが気になって気になって仕方なくて、でもずっと考えているわけじゃないんですけど、なんとなくふとした瞬間に考えていて。いまはなにをしているんだろう、とか考えてみたりして。会いたいなぁ、って思いながら歩いていたり。でも会ったら会ったで、ぎこちなくて、胸が冷えていく。そのくせ、会えないとすっごい落ち込む。落ち込む自分を励ます。で、また気づくと考えている、会いたかったなぁとか。

　……これが巷で噂の、恋ってやつですかね。

　…恋か、……親の仇か。

　いままで慎重に生きてきたんです。だれかと好き同士になるのなら、落っこちたときの衝撃とか考えて、高さはどれくらいかとか受身は取れそうかとか。慎重に生きてきすぎたのかもしれない。これが、恋かどうかもわからない。わたしはじぶんの感情に自信が持てない。

　じぶんの感情に、とか、かっこうつけないで言うと、自分に自信がない、のです。自分に自信のあるにんげんなんていないかもしれないけど、あえて言う。わたしはじぶんに自信が持てないにんげんです。

　簡単にぐらつく根っこの張ってない草のようなじぶんがあって、もうひとつ、じぶんという名の土はどうみても柔らかくって、揺らされたら倒れてしまう。そんなじぶんなので、す。

　好き、なのかなぁ。