空虚な文章

　そりゃあ声も聞こえるよと、思う。ことばが、圧倒的に足りないんだと思う。表情が硬くて、声色が一定で、感情の表出が少ないんだと思う。こちらが感情を表出していても受け取りにくいんだと思う。

　わかるひとにしか、わからない。そんなの当たり前だけど、当たり前なんだけど、そんなのって悲しくない？少なくとも今は、少しのひとだけじゃなくて、身近なひとのいっぱいに、この感情に気づいて欲しい。

　「この感情」と書いたけれど、それは文字には書き起こせないんだ。ことばにできない感情もあると知ったのはついこの間。

　あった過去をなかったことにしたいと思った瞬間に、見えた空がきれいでなかったことにはできないんだと感じた。夕空にからすが飛んで、おうちにお帰りと言った。あのときの傷が、痛む。痛むのはそこじゃなくて、こころだと先生は言った。